生々しい証言や写真、秘蔵映像で辿る、
報道人たちが見た“もう一つの戦車闘争”
ベトナム戦争真っ只中の1972年、神奈川県相模原市から戦地に送るため輸送されていたアメリカ軍の戦車を100日間、一般市民が止めた。その知られざる事件にスポットを当て、デモ参加者、機動隊、戦車を輸送した運送会社の社員といった当事者や専門家らの証言によって構成したドキュメンタリー映画『戦車闘争』。2020年に公開され、大きな反響を呼んだこの作品の続編が登場。今回は新聞記者、カメラマンら主にマスコミ関係者から貴重な証言を集めた他、ジャーナリストの斎藤貴男や劇作家・演出家の鴻上尚史らにもインタビューを敢行。闘争の歴史的意義や背景、さらには報道の在り方やその後の影響まで多角的にあぶり出す。また前作製作後に発掘された秘蔵映像も多数収録、圧倒的迫力で当時の空気を余すところなく再現している。
元AKB48の武藤十夢がナレーションを担当。
次世代へとつなぐ闘争の意義
監督は前作『戦車闘争』をはじめ、死刑執行に携わる刑務官の姿を描いた吉村昭原作『休暇』(08)や弱小サッカーチームの用務係の奮闘劇『ホペイロの憂鬱』(18)といった劇映画のプロデュースを手がけてきた小池和洋。初監督とは思えない手腕によって白熱の攻防を鮮烈に甦らせた。ナレーションは気象予報士、ファイナンシャル・プランニング2級技能士の資格を取得。AFP認定者でもある武藤十夢。彼女の透明感溢れる声が骨太な社会派問題作に一服の清涼剤を与える。
世界各地で争いが頻発する中、無関心を装い平和を謳歌するわが国の現状。しかし戦争は決して人ごとではない。100日間、戦場へ送られる戦車を阻止した人たちはいったい何を信じ、どんな行動を起こしたのだろうか。そして真の平和とはなんだろうか? 闘争は今も目の前にある。
※本編中、ショッキングな映像や写真がございます。予めご了承ください。